タカラベルモントが業界ジャーナル向けに『プレゼンテーション・体験会』を実施

 タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)理美容サロン事業部 戦略企画推進部は59日、業界ジャーナル各社に向けて『プレゼンテーション』および『体験会』を開催した。

 過日、同社では2018年のテーマを“サロンの生産性向上”に据え、消費者とスタッフの課題の同時解決を図る4つのアクションプラン[ONE to ONE空間提案][メンズ活性化提案][自動化提案][ICTソリューション提案]を行なっていくことを発表した。

 

 今回はそれに基づいた内容で、まず片岡良太 戦略・企画立案室室長がマーケティング戦略および[ONE to ONE空間提案][メンズ活性化提案]を説明した。

 現在では情報が得られやすく、サロンを簡単に選べる環境が整えているため、消費者優位となっている。加えて昨今のライフ・ワーク・バランスや働き方改革といった変化や社会保険・残業代の問題、業務委託サロンなどの新たな形態が出てきて働き方も選べるという、労働者の優位性も見えてきている。つまり『消費者>サロン<労働者』という図式。経営の舵取りが非常に難しくなっている。

 そうした中、同社のSALON POS導入店舗データを見ると、この3ヵ年では客数は微減、売上げは微増となっているそうで、年間支払金額2万円以下の消費者は減少傾向、中間層は横ばい、年間10万円以上のいわゆるロイヤルカスタマーは増加していることもわかった。

 今後も消費においては2極化が進行。とくに低価格化に大きな流れがあると予測されるが、それらを受けて、美に関心が高いロイヤルカスタマー、もしくはその予備軍の方々に対してサービスを提供して、促進していくことが業界全体の拡大につながる、とした考えで取り組んでいくというのが主だった施策理由となる。

 この具体策こそが4つのアクションプラン。そこで[ONE to ONE空間提案]について、まず背景としては、働く女性が増え、また自分の時間を楽しみたい、大事にしたいという『me time』を大事にする消費者が増えていることが挙げられる。

 しかし価格に対する結果がわかりにくくもなっているため、結果に至るまでの時間や手間、もしくはどのようなプロセスを経たのかが重要なポイントだという。「時間や手間を軽減しながら、サロンでの過ごし方(プロセス)をもっと良くしていく。すると結果そのものが良く感じられるようになり、価値も実感できる。それが価格に反映でき、単価向上につなげていけます」

 つまりサービスの見える化。そこで提案するのが、salon roomingという考え方だ。「従来のサロンでは、少ないスタッフ数で多くの顧客を回していくというサロン視点での店作り。それを消費者視点での店作りに変えていくということです」

 お客さま一人ひとりに対して、空間・時間・コミュニケーションを最適にしてサービスを提供する。そうすれば顧客満足度は高まり、スタッフにとってもサービスに集中でき、売上げが上がれば待遇面にも反映され、結果的に満足度が上がる。そしてまたお客さまに反映されていくという、好循環を生み出せることが、もっとも大きな効果と話した。

 この中のひとつに[メンズ向けの提案]もある。メンズ市場は着実に伸びており理美容ともに拡大。それを牽引しているのは男性客のロイヤルカスタマーで、売上げの半数を占めていることが見えてきている。

 さらにこの5年でヘッドスパメニューが約3倍に伸びているそうで、重要なキーになっているとして、「ヘッドスパ×salon roomingが男性のロイヤルカスタマーをつかまえる有効な切り口だと考えている」と述べた。

 

 続いて同室・堀田達雄氏が、[自動化提案][ICTソリューション提案]について発表。この2つはサロンワークの効率化につながり、スタッフの時間を増やして価値の高いサポートで結びつけるという。

 そのうえで、お客さまとスタッフの満足度を同時にアップさせるという[自動化提案]では、まず同社のアクアフォルテ(水流シャンプー)が対前年比136%で、多店舗展開する美容室が前年比3倍と急増していると報告。

 とくにカラー・カット専門店、多店舗展開サロンは自動化との相性が良く、「自動化の価値はシャンプーブースで回転率アップ(アシスタントの生産性向上)、フロアでお客さまの満足度アップ(時間短縮により他サービスへ注力できる)などが挙げられます。とくに多店舗展開する美容室は今年度、定番化するのでは」と述べる。

 しかし手抜きをしているようでブランド価値の低下を招くのではないか、といったイメージが残っているのは事実。そこでデザイン志向の地域有力店ではどうかというと、導入サロンによれば、『手荒れや腰痛などによる離職を防止できる』『時間短縮によりブローや薬剤塗布などの技術向上につながる』『さまざまな仕事を掛け持ちながらできるので視野が広がる』『頭でいろいろなことを組み立てながら仕事をするようになるので成長が早い』『教育期間が圧倒的に短縮される』といった声が聞こえており、加えてお客さまの評判も上々だとか。

 そして新提案として、今秋にもドライマシン(仮称)を導入することも発表。自動化による時間短縮により、生産性向上に寄与していきたいと述べた。

 次いで[ICTソリューション提案]。現在、クラウド型POSは市場が急拡大し、関連してネット予約も増加。同社のネット予約も3年で4倍成長となっている。他業界を見てもネット予約が当たり前になっていることから、今後もこの傾向は続くことが予測される。

 それでは入口となるポータルサイトの現状を見てみると、大手はコストがかかることもあって、2番手以降がシェアを伸ばしている現状がある。

 ただ、ポータルサイトから予約が入ると、手作業でPOSシステムに予約を入れ、さらに紙の予約表にも記入。そして電話予約が入れば、ポータルサイトの空き状況を修正するなど、手作業は多く生産性が低い。

 そこで複数のポータルサイトを利用してコストを削減したうえで、予約一元管理KANZASHIを利用して自動化し、紙の台帳はなくすことで生産性向上とコスト低減につなげる。リピート客には自社サロンのホームページ、またはタカラベルモント社のLinQでの予約を促していく、といった流れを提案するという。

 さらにこの4月、ネット予約状況分析機能を追加したことで、サロンで利用している予約システムの効果を分析でき、集客コスト削減も実現させていきたいとして、そうしたICT活用講座を全国で開催しサロンの生産性向上につなげていくとも話した。

 また、プレゼンテーションされた自動化、ONE to ONE空間、ICTの体験会も行なわれ、同社の取組みをより深く知れる機会となった。