千葉県理容組合(増田稔理事長)次世代研究グループ(酒井宏明幹事長)は5月28日、県理容会館に前中央理美容学校教頭の安井万左男氏を招き『神と仏~日本人の宗教観』と題した講演会を開催した。
安井講師はまず、データや地政学に基づいた神社及び神職の実態を示すと、「本来、神の領域とは山や森、岬等の盤座(いわくら)を指し、(災害や疫病等をもたらすとされる)荒ぶる神々を鎮めるため、そこに神を祀ったもので、社殿等の社(やしろ)は存在せず、御利益を求めるものでもなかった。一方でドグマ(教義や戒律)を持たない神道は本地垂迹という形で外来宗教である仏教と結び付けられ、明治以降は神仏判然令(廃仏毀釈)により国家神道とされる等、権力者らによって政治的に、時として商業的に利用され、時代と共にその姿を変えて来た。」と語り、神社の起源や神々の種類と由来等、神道の成り立ちと遍歴を解説した。
さらに記紀(古事記、日本書紀)に記された神話のエピソード等も紹介し、「これらは天皇家の正統性を示すための藤原氏らによる創作とは言え、実際に起きた事象に重ねられた部分も多く、また、記紀に登場しない神を祀る八幡信仰が全国に広まった経緯等も大変興味深い。一般教養として宗教史、古代史等にも関心を持ってほしい」と説き、3時間の講義を結んだ。
(投稿 岩田健太郎)