千葉県理容組合(増田稔理事長)次世代研究グループ(中山徹幹事長)は5月20日、千葉県理容会館で、元中央理容美容専門学校教頭の安井万左男氏を講師に迎え『新元号、令和について考える』と題した講演会を開催した。
当初は『歴史を動かす感染症』とのテーマを予定していたが、新元号改元に伴いその決定に至るプロセスを歴史、政治、文学等多角度的に考察することとなった。
まず“令和”に対するイメージについて意見交換すると、参加者は概ね好意的な印象を持っていたが、漢字辞典を基にそれぞれの字が持つ本来の意味について考えると、その印象にも頷けてくる。
そして最終候補に挙がった他の5つ、英弘、広至、万保、久化、万和についても、出典元と選考理由を説明。さらに令和の典拠となった万葉集について、考案者と目されている国文学者、中西進氏のインタビュー記事を元に言葉の持つ響き、漢字の持つ意味、万葉集とは、中国の古典の影響、万葉仮名とは、日本の文化の特徴等々、考えを進めていく。
さらには安倍首相の談話、知識人の批判記事等を参照し“令和”に対するさまざまな考え方が検証された。
この中で品田悦一氏の特別寄稿にあった「間テキスト性」という考え方に参加者も興味を持ったようだ。しかじかのテキストが他のテキストと相互に参照されて、奥行きのある意味を発生させる、というもので、“令和”がさらに深い意味を帯びてくる。
一次的な情報ではなく、多方面からさまざまな情報を得て、みずからの意見を構築していくというプロセスが大切だと思えた講演内容となった。
(投稿 星野智之)