全理連中央講師会(山本賢司会長、木下裕章幹事長)は9月28日、東京・高田馬場の中央理美容専門学校で『2021年度秋期研修会』を開催した。コロナ禍のため講師会会員は、リモートでの参加となった。
プログラムは、PEEK-A-BOOの川島文夫代表と木下幹事長との対談「美容と理容の未来について」や、World hair in Japan 2021-2022A/W(秋冬)「D’S(ディーズ)」の発表など。
6月に新体制となり幹事長に就任した木下幹事長は「真っ白なところから始めたいことから、テーマをに“All White”に決定した」と発表した。その後、対談となり木下幹事長が川島代表に質問するかたちで進められた。川島代表はヴィダルサスーンのボックスボブを生み出したことでも知られ、海外で活躍する美容師の先駆け。美容をはじめたきっかけについては、映画好きであり、登場人物のヘアスタイルはどのように作られるのかに興味をもちはじめ、それらを作る職業に就きたかったからだったが、突き詰めれば“人が好き”ということにあるという。また、海外に行きたいという夢をもち、ハサミとコームで国境を乗り越えられると考えたとのこと。ロンドンのサスーン時代に、日本の多くの理容師がこれからの時代はユニセックスであり女性のヘアスタイルも作りたいからと見学に来たことについて、その当時の日本の理容師はヘアカットやデザインすることに関して熱心であり、はさみなどの知識も豊富であり、先見の明があったのではないかと話した。
理美容の仕事は自分の発想・クリエイトを繰り返していくことが必要で、その根源は情熱であるとのこと。「お客さまの顔に一番近いのは手であるから、頭で考えるより手で考えること。つねにリセットとアップデートが大切で、リセットしながら前に進むことが大事。日本の理美容は世界一といわれているが、YouTubeで何でもみられることに安心してしまっているからか、ここ2~3年は弱体化している」と指摘。ことばで知る100点よりも、行動の60点が大切だとのこと。さらに「美容は入学はあっても卒業はなく、一つのスタイルを極めることが大事であり、それはブレなく仕事をすることにつながる」と話した。
また、日本の理容はどちらかというとバリカンを使用して刈り上げるというイメージが強いが、本来はジェントルマンヘアスタイル(オートクチュールのヘアカット)であるという。ユーザーは何を求めて来るのかを鮮明にして、稼げるプロフェッショナルな理美容師になってほしく、“様々な価値観を出すこと”が今後のテーマになると提言した。
理美容の未来像については、「コロナ禍で必要なのはユーザーに何ができるのかを明確にすることだ」と話した後、川島代表が伝えたいこと「力いっぱい、夢いっぱい、精いっぱい、美を極める、美容があるのは自己責任をもって何かひとつ極める心構え」を披露した。「現在、美容業界は多様化・専門化しており、美容の世界に入門した皆さんに心がけてほしいのは、“極めること”だ」と強調した。理美容の仕事は人とのふれあいであり、いい手になること、生涯(現役)理美容師を目指してほしいと結んだ。
同会トレンド研究室「NEXT 16」によるWorld hair in Japan 2021-2022A/W「D’S」の発表では、ヘアカラーやパーマ、ヘアセットなどのポイントを解説しながら展示を行なった。
これまでの「全理連ニューヘア」は、名称を2021年から「World hair in Japan」に変更。春夏(S/S)とA/W(秋冬)の年2回、発表することとなった。2021-2022A/W「D’S(ディーズ)」はシンプルで気品漂う男性らしさ「D」(Dandyism)と女性らしさ「S」(Sexy)の略語で、今季トレンドポジションの主流であるモダンをベースに都会的な要素や知的さをイメージし、原点回帰からの発信としてニューフォーマルなヘアスタイルを表現しているという。ターゲットは、20~40代の前向きなファッションやヘアスタイルでおしゃれを楽しみたい人たち。