MFU『第50回ベストドレッサー賞』発表・授与式

ベストドレッサー賞受賞者 左から設楽さん、伊集院さん、吉岡さん、田中さん、鳥海さん、カデロさん、草野さん

一般社団法人日本メンズファッション協会(MFU/八木原保理事長)ベストドレッサー委員会が主催する『第50回ベストドレッサー賞』の発表と授賞式が12月2日、東京・渋谷区のセルリアンタワー東急で行なわれた。1972年に第1回が開催されてから50周年という記念の発表・授与式である。

政治・経済、学術・文化、芸能、スポーツ、インターナショナルの各部門でファッションセンスはもちろんのことその時代背景下、仕事への情熱やこだわりをもち、魅力ある生き方をしている著名人に贈るもので、今年は6名と特別賞1名を選出。設楽洋さん(株式会社ビームス 代表取締役社長)、伊集院静さん(作家)、吉岡里帆さん(女優)、田中圭さん(俳優)、鳥海連志さん(車いすバスケットボール選手)、マンリオ・カデロさん(サンマリノ共和国特命全権大使)と、「特別賞」の草野仁さん(フリーキャスター)が受賞した。

ベストデビュタント賞受賞者 左からツバメアーキテクツの3名、岡﨑さん、小林さん、角野さん、703号室さん

また、これからの日本の文化を創造していく若手クリエーターの応援を趣旨とした「第18回ベストデビュタント」の発表・授賞式も併催された。受賞者は「空間・インテリアデザイン部門」ツバメアーキテクツ(建築家)、「ファッション部門」岡﨑龍之祐さん(デザイナー)、小林裕翔さん(デザイナー)、「音楽部門」角野隼斗さん(ピアニスト)、703号室さん(シンガーソングライター)。

さらに第50回を記念して各年代を彩った歴代受賞者318人を映像で紹介し、「BEST OB BEST DRESSER Top5」も発表された。各部門でTopは「政治部門」小池百合子さん(環境大臣・東京都知事/2005・2016)、「経済部門」豊田章男さん(トヨタ自動車取締役社長/2014)、「学術・文化部門」野村萬斎さん(狂言師/1997)、「芸能部門(女性)」安室奈美恵さん(歌手/1996)、「芸能部門(男性)」GACKTさん(アーティスト/2003)、「スポーツ部門」新庄剛志さん(メジャーリーガーニューヨークメッツ/2001)、「インターナショナル部門・特別賞」市川海老蔵さん(歌舞伎俳優/2007)。

八木原理事長は「半世紀という記念に相応しいベストドレッサーを迎えることができた。MFUは社会貢献とSDGsに積極的に取り組んでおり、これを元に活動している。これからの国や業界、地域を元気に盛りあげたい」と述べた。

 

経済産業大臣政務官の吉川ゆうみさんは「両賞はファッションシーンを支え、映像やグラフィック、アートや音楽、建築などわが国の未来を切り拓くクリエーション全体を支援してきたといっても過言ではない。近年日本はファッションのサービス化(シェアリング、サブスクリクション、リメイク……)や、デジタルファッション市場の拡大(SNS用おしゃれ着など)、バイオマス素材など循環経済に向けての素材革命などで世界的潮流をリードする強みがあるとみて、経産省では5年ぶりにファッション研究会を立ち上げたところ」とあいさつした。

◇ベストドレッサー賞受賞者のコメントと選考理由◇

「政治・経済部門」設楽洋さん(株式会社ビームス 代表取締役社長)
 ファッション:今日のコーディネートは、SDGsを考えて7年前ぐらいのものにした。セレクトショップのビームスは創業から45年が経った。40年まで、世界の良いものを日本に紹介するスタイルだったが、これからはそれと同時に日本の良いものを世界に紹介することもしていきたい。
選考理由:青春時代はVANを中心にアメリカ文化の洗礼を受け、原宿ではじめたビームスを『ハッピーライフ ソリューションカンパニー」に育て上げた。好奇心旺盛でミーハーイムズを大切にしている。

「学術・文化部門」伊集院静さん(作家)
ファッション:おしゃれの基本は清潔であり、潔い格好をしたいと思っている。(ベストドレッサー賞が)50年経ってその間、日本人がおしゃれになった。夏目漱石や正岡子規は個性的でおしゃれだったので、もともと日本人はおしゃれの可能性を持っていると思う。
選考理由:小説家、エッセイスト、作詞家、CMディレクターなど多彩な才能を発揮。大人の着こなしにはいい女といい街が必要と説き、洒落者にして最期の無頼派と呼ばれ、大人の流儀にこだわりをもっている。

 

「芸能部門」吉岡里帆さん(女優)
ファッション:今日のドレス(肩を出した黒のロングドレスでセンターにパールがあしらわれている)は、凜と立ちたいと思って選んだ。真ん中のパールが可愛らしくて、とても気に入っている。
選考理由:NHK連続テレビ小説「あさが来た」で注目され、映画やドラマ、舞台で活躍。何ことにもチャレンジ精神に満ち、おしゃまな女の子の無垢な笑顔と大人の妖艶な表情をあわせ持っている。

 

「芸能部門」田中圭さん(俳優)
ファッション:プライベートはシンプル&ベーシック、自然体でいられることに重きを置いている。時には、背筋がぴんと伸びる装いも大切。家族でレストランに行くときなどは、妻と色を合わせたりしている。
選考理由:芸歴21年。映画からバラエティまで、コミカルからシリアスまでこなし、本年は映画6作に出演。日々を大切にひたむきに生き、フラットでありたいと思うシンプルとベーシックを旨としている。

 

「スポーツ部門」」鳥海連志さん(車いすバスケットボール選手)
ファッション:今日の装いはバスケットボールマンらしく、でもユニフォームとは違うカッコよい服にしたいと、ビームスに相談。パラリンピック時の金髪ではなくダークにしたのは、髪色や髪型を変えるのが好きだから。
選考理由:東京2020パラリンピックの車いすバスケットボールで日本男子史上初の銀メダル獲得に貢献し、同大会MVPを受賞。スピーディで多彩なプレーのように、人一倍髪型やファッションに気をつかっている。

「インターナショナル部門」マンリオ・カデロさん(サンマリノ共和国特命全権大使)
ファッション:服の着こなしと同じく、外交にはProtocole(外交儀礼・慣習)だけでなく、Manner(行儀作法)やDiscipline(規律)が欠かせない(日本文化やマナーに関する著書を複数上梓)。

選考理由:世界最古の共和制国家サンマリノ共和国の駐日大使を20年務め、157カ国の駐日外交団長でもある。知日家・親日家であり、真のマナーをわきまえた品位がある。

「特別賞」草野仁さん(フリーキャスター)
ファッション:年齢を重ねるうちに、明るい色の服を意識して選んでいる。老いてくると肌がくすみ弛んでくるため、いつ見ても元気だなと思ってもらいたい。自分自身もまだまだこれからの人生を楽しもうという気になる。

選考理由:NHKを退職後、報道番組からバラエティまで数多くの番組に出演。35年続くTV番組「世界ふしぎ発見!」では柔和な人柄が評判の名司会者。文武両道の、毅然としたスーツ姿が印象的。

*田中さん、カデロさん、草野さんのファッションコメントは「BEST DRESSER STYLE BOOK 2021」より