デザイン力・設計力・提案力の向上を目指したデザインコンペ
タカラベルモント株式会社（吉川秀隆会長兼社長）を初めとするタカラベルモントグループは7月21日、赤坂の東京本社にてデザインコンペ「TBCA（Takara Business Creation Awards）2023」を開催した。
審査員に五十嵐久枝氏（武蔵野美術大学 教授／IGARASHI DESIGN STUDIO）、芦沢啓治氏（芦沢啓治建築設計事務所）、鬼木孝一郎氏（株式会社鬼木デザインスタジオ）を、またファシリテーターとして塩田健一氏（株式会社商店建築社 月刊商店建築編集部 編集長）を招き厳正な審査が行なわれ、設計デザイン賞金賞をはじめとする各賞が下記のとおり決定した。
このコンペティションは、デザイン力・設計力・提案力の向上を目的に、全国のタカラスペースデザインのデザイナーが設計した理容・美容サロン、デンタル・メディカルクリニックの中から、特に優れた作品を選出しているもので、今回で33回目。日本を代表するデザイナーや業界ジャーナルも審査に加わり、業界の動向を捉え、今後のコンセプトを探求していく場にもなっている。
今回はタカラスペースデザインの所属デザイナー約110名により、昨年4月～今年3月の間に手掛けられたサロン・クリニックの中から、一次審査で60作品を選定。さらにその中から最終審査対象としてノミネートされたサロン部門10作品・クリニック部門7作品、計17作品についてデザイナー自らが『TBCA2023』でデザインのコンセプトや設計のポイントなどをプレゼンテーションした。
サロン部門金賞を受賞した「room hair & head spa」（湯口巌デザイナー）は駅前雑居ビル 5Fのテナントで、大型サロンから独立した夫婦の開業案件。夫婦からは、それぞれに持つ顧客層が異なる事、将来的に一部を面貸し想定している事から、個室に分化するレイアウトのリクエストがあった。さらに、雑居ビル内にある事から、外にいるようなリラックス感、自然を感じられる空気感が求められた。それらの要望をまとめ、4つの部屋を十字型の通路空間でつなぎ合わせる「田の字」レイアウトを採用。個室のプライバシーを高めることはもちろん、移動する際の期待感やリセットする時間など通路空間での体験に着目して空間を構成した。黒い水盤を思わせる空間から、桟橋を思わせるウッドデッキの空間に進むと、先にはルーフバルコニーからのふんだんな自然光が待ち受け、そこから脇に降り個室へと進む導線をデザイン。進むに連れてシーンの変化が現れ、記憶に残る空間となっている。また、デッキや柱には木造住宅の解体時に取り外した古材を使用。加工や経年変化の跡、色ムラ等はそのまま使用し、外にいるような印象を空間に添えている。
審査員からは、「ミラーを巧みに使用しており、面積よりもかなり広く見えるよう工夫されていて秀逸」「コメントする事が無いほど細部にわたり緻密に計算されていて、素晴らしい」「床を水盤に見立てるアイデアやデッキに古材を使用する発想ほか、参考になる作品」などと評価された。
デザイナーの湯口さんは「今回は若手に参加してもらっている。若手から、いろいろな刺激をもらって自信の持てる作品を創ることができた」と受賞の感想を述べた。
タカラスペースデザイン株式会社の野口耕永社長は「タカラスペースデザインは、今年創業65年を迎える。美と健康の領域で定められた社会的なデザインの責任を感じ、今後はもっとデザインの勉強をしなくてはいけない。そして、会社のブランディングを確立していきたい。来年も、今年1年間仕事をして、良い作品をこの場に提出したい」と閉会の辞を述べた。
［サロン部門］
■設計デザイン賞〔賞、サロン名（業種）、デザイナーの順／敬称略〕
金賞：room hair & head spa（美容）、湯口 巌
銀賞：NUTS MEN’S HAIR（美容）、林 優佑・嶋木 良
銀賞：シェービングアンドヘアサロン ポノラカ（理容）、篠崎 海・小林 昌平
銀賞：Hair salon カトレヤ（美容）、堀川 塁
銀賞：Hui（美容）、湯口 巌
■ジャーナル賞
理美容教育出版賞：髪細工（理容）、髙橋 修
髪書房賞：HARE（美容）、湯口 巌
コワパリジャポン賞：PALETTE（美容）、青木 拓己・鈴木 真太郎
女性モード社賞：Ark +（美容）、小林 昌平
新美容出版賞：Calmi hair&nail（美容）、湯口 巌
ヘリテージ賞：NUTS MEN’S HAIR（美容）、林 優佑・嶋木 良
