タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は、4月10日大阪・リーがロイヤルホテル大阪で全国有力代理店会議を開催、全国から82社117名の代理店代表者が出席して行なわれた。
役員紹介後、プロモーション映像が映し出される中登壇した吉川社長は、開会のあいさつに続き石川県能登半島地震の被災状況に触れ「心よりお見舞い申しあげ、一日も早い復興を願っている」とした後「当社も被災されたサロン、クリニックを訪問し、お見舞いとともに点検・修理等復旧支援を行なっている。また、先日は断水状態が続く珠洲市でボランティアカットとネイル施術を行ない、感謝の言葉をいただいた。引き続き日常を取り戻す支援やサポートを継続していく」とした後、同社グループ全体方針を発表した。
・環境動向
円安状態が続き、輸入コストの増加や世界的な原材料の価格の高騰により、企業収益が圧迫され、家計にも大きな負担となっている。日本への外国人観光客がコロナ前より増加し、さらなるインバウンド消費の活性化につながっている。株価もバブル期以来34年ぶりに過去最高の4万円台を記録した。
物価も上昇傾向に転じ、デフレ脱却・経済成長に向けての動きも加速している。サロン業界も、生活者の需要を取り込み、活性化の波に乗っていく1年にしたい。
・業績報告
速報ベースで、2023年度タカラベルモントグループの連結売上は、対前年3%アップ(国内マーケット573億円、グローバルマーケット223億円)となった。国内では理美容事業、化粧品事業、デンタル事業は微増、メディカル事業が大きく伸長した。グローバルではヘッドスパが海外でトレンドとなりつつある事もあり、YUMEが過去最高の589台輸出(対前年比36%アップ)。デンタル事業では、民間では世界最大級といわれるデンタルセンター(クウェート)に、当社の歯科ユニットと口腔内レントゲンが導入されるなど、理美容・医療ともに事業拡大を図り、特に欧州では二桁の成長となった。
・世界の3つの潮流と当社の取り組み
2024年1月にラスベガスで開催されたCES(コンシュマーエレクトロニクスショー)を視察し、世界の3つの潮流「AIを中心としたDXの加速」「サステナビリティとインクルーシビティ」「オープンイノベーション」を実感した。
1.AIを中心としたDXの加速=AIをどう取り入れ新たな価値を生み出していくかは、理美容業界においても差し迫った課題と考えている。当社は「SALON PLUS DX」というテーマを掲げサロンのDXを推進しているが、AIを搭載したスマートデバイスミラー「ECILA」、そしてサービスとして連携するBEAUTY CITY SALONPOSなどのデジタル製品・サービスを展開し、今後は給湯器などの設備機器においても積極的にAIを活用していく。
2.サステナビリティ(持続可能性)とインクルーシビティ(多様性の尊重)=当社では、地球・社会環境の変化に向き合い「ものづくり企業」としての責務を果たす必要があると考え、2023年度に「サステナビリティポリシー」を策定。業界の皆さんと手を取り合い、サステナビリティを推進していくことで、産業全体の豊かな発展と繁栄に貢献していく。また、インクルーシビティの観点では、理美容師に対するキャリア支援プロジェクトを開始した。「子育て世代のママさん理美容師がハードルを感じることなく自分らしい理美容師としてのキャリアを築けること」をゴールにプロジェクトを始動する。
3.オープンイノベーション=イノベーションは自社単独では成し得にくくなっている。業界を問わず様々な企業と連携・協業が必須となっており、オープンイノベーションの動きがさらに活発になってきている。当社では美と健康をテーマに掲げ、美容と医療の領域において事業展開をしているが、今後はその両者の間にある「ヘルスケア領域」にも事業展開をしていく。当社も美容と医療に関係する様々なステークホルダーと連携・協業し、オープンイノベーションで新規事業の立ち上げにチャレンジしていく。
また、2025年大阪万博において「未来のヘルスケアサロン」というテーマで、ヘルスケアに関わる事業の一端を出展するので期待いただきたいとしている。
この後高宮実理美容事業部長、斉藤勝化粧品事業部長からそれぞれ事業方針が発表された。
・2024年度サロン事業方針
「新たなロイヤルカスタマー型サロンづくり」の推進
昨年掲げたSALON PLUS DXをさらに推進するとともに、新たな製品・サービスでサロンの課題解決をサポートし、ロイヤルカスタマーづくりの次のステージへ進んでいく。
方針発表後には、優秀代理店表彰が行なわれ、吉川社長からトロフィーが授与された。また、会場内やホワイエには同社新製品や話題の「ECILA」や「YUME ESPOIRⅡ」「化粧品」などが展示され代理店各社に紹介された。